名前の話


いえ、たいしたことでは無いのですが、登場人物紹介のところでゲイルの名前が本名ではない、と書いてあることについて本人に解説してもらいましょう。ツッコミ役はミック。

ゲイル 「正式名は、Djibril.Ibnahmaad.Shamillです。」
ミック 「なんで、俺が知っている名前と違うんだ?」
ゲイル 「それはですね、英語圏で通じやすい名前に変えたからです。Djibrilってなじみが無いでしょう?」
ミック 「ガブリエルのことだよな。天使の。」
ゲイル 「良くご存知ですね。」
ミック 「俺、一応キリスト教徒。ついでに旧教。」
ゲイル 「アイルランド人は旧教多いみたいですね。僕はムスリムです。一応。」
ミック 「で、英語圏で通じやすいGabrialに変えたわけだ。」
ゲイル 「ジブリールは、イスラムではコーランを伝えた天使として伝わっています。キリスト教圏と違って、
     女性と考えられることはありませんね。あんまり天使の名前をつけるということはしないようですが、
     僕の兄達が次々と死んでしまったので、強い名前をということで付けられたようです。」
ミック 「お前の家って…。そういった願いを込めると言った点ではどこも変わらないな。次、ミドルネームについては?」
ゲイル 「なんか、普段と立場逆ですね。Ibnahmaadというのは、一般的なキリスト教圏のミドルネームあたるものではないです。
     Ibnというのは”〜の息子”と言う意味です。僕の父の名前がAhmaadなんですね。」
ミック 「アイルランドで、MacとかOとつけるのと一緒か。」
ゲイル 「そうなんですか?」
ミック 「某バーガーショップはDonarldの息子。」
ゲイル 「じゃあ、アルは?」
ミック 「Orwell?うーんどうだろう。」
  
ゲイル 「まぁ、置いておきましょう。で、Shamill。これも厳密には、姓とは違います。先祖の名前か、
     もしくは部族の出身地等を示しています。部族の出身地を示す場合は、定冠詞のアル(al)がついて
     最後は形容詞のイー(i)で終わるそうなので、Shamillが出身地だったらアル=シャミリー(al=Shamilli?)になるんでしょうか。
     もっとも、Shamillは作者の創作ですので、違っている可能性は十分です。
     昔は正式な名乗りは、××の息子の、△△の息子の、□□の息子のと始祖まで続いて、本人の名前、○○の父。
     と名乗ったそうです。アブーと頭につく名前は○○の父ということになります。ちなみに母の場合はウンム。」
ミック 「お前も子供が出来たら、アブー○○になるのか?」
ゲイル 「ヨルダン近辺では、その風習は残っていますが、合衆国で仕事をしている限り使うことは少なそうですね。
    ちなみに、子供が出来なくとも、未来に生まれる子供の名前をつけて名乗ることもあるそうです。」
ミック 「彼女作る方が先だよな。」
ゲイル 「人のこと言えるんですか、貴方は。」
ミック 「………。」
ゲイル 「………。」



参考資料:第三世界の姓名―人の名前と文化― 明石書店
     アラブ・ムスリムの日常生活―ヨルダン村落滞在記― 講談社現代新書