ショートショート第2段。
ちょっと、アダルトですな。いいのかこんなことで。境井。

夜中にそっと、ベットから抜け出そうとする峰の腕を、スタンフォードはつかんだ。
「どこへ行く気だ?」
少し口調が荒くなったかもしれない。
「帰ろうと思ったんですが。」
峰は、ほんの少し困惑した顔を見せて、そう答えた。
「こんな時間に?」
いつもとは逆にスタンフォードが逆に峰を見上げるような格好で言った。
この時間帯はもう歩いて帰るしか方法が無いはずだ。
「なにか、家へ帰らないといけない用事でもあるのか?」
「いえ、でも…」
言いよどむ峰の腕を思い切り引っ張って引き寄せる。
峰はバランスを崩して、ベットに手をついた。
「私の側だと眠れない?」
他人がそばにいると常に緊張しているのは、峰の癖だ。かなり神経質なのだ。
「…、はい。」
一瞬、沈黙があったが、はっきりと峰は肯定した。
「そうか。しょうがないな。」
溜息を一つつくとスタンフォードはそう言った。
「じゃ、朝まで寝ないようにすればいい。」
「はい?」
今度は、肯定ではなく疑問形だ。
スタンフォードは、ベットに手を付いていた峰をその中に引きずり込んだ。
「ちょ、理性はどうしたんですが!!」
峰が珍しく声をあげた。
「普段はあるが、今は無い!」
きっぱりと言い放ったスタンフォードを今度は峰が見上げる。
呆然として、言葉も無い。
「ということで、朝まで結構あるぞ。」
楽しそうなスタンフォードの声を聞きながら、峰はこういうのをヤブヘビというのだろうかと思った。

終。